〜アフォーダンス〜

ゲシュタルト学派の登場は、デカルト以来の「知覚と行為を分離する認識モデル」という古典的なモデルに挑戦する心理学者を登場させた。知覚を心的な推理の結果ではなく、「環境に存在する情報を抽出する行為」としてとらえ”アフォーダンス”という概念を示したJ・J・ギブソン(1904−1979)さん。


彼は、環境の中にある「面(surface)」という単位を発見し、そこに一定の「変化率」を持つ「texture」が知覚を刺激することを主張した。奥行きなどを捉えるときにはtextuerの変化を誰もが使っている。よく使われる例では徐々に点々を小さくして距離感をだすやつ。


しかしギブソンは自ら「textureの変化率」は必ずしも環境についての絶対的な情報とはならないことを示した。textureではなく面の変化が知覚にとって重要だといった。texture(材質)や形ではなく、形の変化が知覚にとって有効な情報。夜中に、ネコか犬かわからないときに動き出したらどちらか判明するのね。


変化という次元は、自己の知覚に重要。環境の不変性と変化から知覚者自身の姿勢や移動などが知覚される。自転車に乗ってるときに、目に映る風景の変化でスピードや方向がわかる。つまり環境の知覚は自己の知覚と一体。


ギブソンは、環境のアフォーダンスは持続的であるという。情報は環境の中にあり、それを抽出するのが知覚者だと。それゆえアフォーダンス理論は「生態学実在論」と呼ばれることもある。



彼は75年の生涯をかけて、二元論と幾何学を飛び越えようとした。